2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

晝の焦燥

5日で2616頁。借りたぶんを返して予約した図書を受け取り2日で5冊。なにか変だと思いつつも頁を繰る指先を躾けられないのだからこれはもう仕方のないことと開き直り今日もせっせと活字をたべる。夜があっという間に過ぎていく。 クワズイモの葉先からぽたり…

遠因のアンスト

歩道に打ち捨てられた灰色の死骸と少女の髪を束ねる桃色のリボンと躑躅の植えこみに混生する紫色と獲物を咥え低空を滑る茶色の鳥。以上が先週の私が知覚した色で今週の私は雪柳のけぶるような白色と桜の幽かな肌の色などを半ば意識的に記憶していったが眠り…

橙色の網代笠

黒く湿った坂道を確かな足取りですっすっとのぼり行く御坊がひとり。数十メートル後方を自転車で走っていた私はその姿に目を奪われ思わず足を止めた。この辺りで御坊を見るのはそう珍しいことでもないので普段なら対向であれば目礼をしてすれ違い追い越す場…